偽造証券 (新潮文庫)

偽造証券 (新潮文庫)

ニューヨークを舞台とした、証券詐欺をテーマにした経済小説.証券詐欺といっても、からくりは非常にシンプルであり、それがかえって現実的な話の展開を可能にしている.登場人物は、誰もみな金融市場においてディーラーを経験しており、ビジネス経験に知性を備えた魅力ある人物ばかりである.現実にはそんな人ばかりではないものの、登場人物の知性には魅力を感じてしまう.(特に、優子とミサト)それから、訳ありの過去をもつミチルも、好感の持てる登場人物である.そして、本作品を読んでいて一番感じるのは、ニューヨークの街の持つ自由な雰囲気である.