赤い雪―総括・連合赤軍事件 (新風舎文庫)

赤い雪―総括・連合赤軍事件 (新風舎文庫)

作品の構成には、作者のジャーナリストとしての才能を感じずにはいられない.ノンフィクションなのだが、あたかも小説を読んでいるかのような、臨場感を覚えさせる.特に、連合赤軍が、浅間山荘事件に至るまでの間、山中で起こした総勢14人にものぼる総括(という名のリンチ殺人)の場面の描写は、読んでいて気持ちが悪くなるほど臨場感をかき立てる.我々の世代は、学生運動世代を60年から70年はじめとすると、それからすでに20年も経て大学生となったので、左翼思想というもの、とりわけ革新的左翼(暴力的?)なるものの知識について何も持っていなかった.今思うと、親たちも、こんな危険な思想を子供たちに教えるのは非常に心配であっただろう.大学入学時、下宿の大家さんに「左翼活動はNG」と言われても何も分からなかった自分が懐かしい.本作品を読んでも、左翼思想に共感を覚えることは決してないが、作品の中で描かれている若者(とりわけ苦悩しながら、左翼活動の波にまきこまれていく若者、例えば奥平剛士)が当時感じていた疑問には、興味を沸く.ただし、森や永田などのバカどもには興味ない.こういう人間は死ぬべくして死んで行ったし、死刑判決を受けている.(それでも、犠牲者のやりきれない気持ちは、被害者にしか分からないであろう.)