秘密のファイル〈上〉―CIAの対日工作 (新潮文庫)

秘密のファイル〈上〉―CIAの対日工作 (新潮文庫)

第二次世界大戦から戦後のマッカーサー率いるGHQによる日本統治に至るまでの、アメリカによる情報戦略.アメリカにいいように情報を操作され、負けるべくして負ける世界大戦だった.当時の日本の軍部は、あまりにも精神論主導であり、暗号技術をはじめとする情報技術を酷く軽視していたことが平易に予想される.2004年現在、アルカイダを代表とする中東のテロ組織に対するアメリカCIAの戦略は相当困難を極めているが、戦中当時は、CIAもまだ発足していないのに(CIAの前身となる情報機関は既にあった)それでもいいように情報操作されているのを知ると、複雑な気持ちになってしまう.アメリカにとって日本という国は、東南アジアにおける資本主義の拠点として、非常に操作しやすい土地だったのか.戦後の日本の再生は、日本人によるものではなく、アメリカ資本主義による再生であったのではないだろうか.