朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

ドイツ人による戦争責任をテーマにした悲劇的恋愛物語.ドイツ人が直面している第二次世界大戦におけるナチ戦争犯罪という問題をテーマにしている.ドイツ人にとっては直視することが困難と思われえるテーマであるが、著者はそんなテーマに対して真正面から取り組んでいると感じた.しかしながら、あとがきの説明には、本作品の内容から、むしろドイツ人の戦争責任を美化するような傾向があると非難する声もあるようだ.自分はそのような感想は持たなかったが、なるほどそういう見方もでてくるのか.第二次世界大戦の戦犯国は、それぞれに反省の仕方が異なるようであるが、ドイツと日本のそれもまたやはり異なっていると感じる.本作品自体は非常に読みやすく、また想像し易い設定であった.主人公の父親の台詞は難しかったが、哲学の教授らしい難解なアドバイスでしたね.