非情銀行 (新潮文庫)

非情銀行 (新潮文庫)

良くも悪くも近年話題をさらったベストセラー(?).みずほとしてはあまり良くないベストセラーかもしれない.話の内容としては、どれほど事実に即した話なのかは不明であるが、銀行を始めとする金融機関と総会屋との黒い結びつきを興味深く表現している.某関西系都市銀行と「総会屋」との結びつきの表現については、結構強烈な表現もあったりして、あらためて金融業界の裏の黒さに嫌気が差してくる.フィクションであれば良いのだが...

グロタンディーク 数学を超えて

グロタンディーク 数学を超えて

現代の代数幾何学の巨人であるグロタンディークの伝記.数学者の伝記を読むことは数学を勉強する上で必要なものなのかは不明である.しかし、グロタンディークについてはいろいろ興味を持っていた.(いる.)若くして、数学界を去り、フランスの山奥で隠匿生活に入っているという概略からも、只ならぬ雰囲気を漂わせているが...本書を読んだ後の第一印象は、グロタンディーク自身は、けっして前向きな理由から隠匿生活に入っているのではないなぁという印象である.有名な著「種まきと収穫の時と」も、けっして前向きなモチベーションから書いた書ではないと思われる.これだけ才能にあふれた人なのに、もったいないと思ってしまうが、それほど、彼の生まれた背景、育った軌跡が彼に与えた思想は、我々凡人には計り知れないものがあるのであろう.彼が軍関係がサポートする学会には、完全に拒絶反応を示していたことも、彼の生まれた背景まで考えないと理解できないのであろう.ところで、グロタンディークは、「数学とは書くことである」と言っていたそうな.それで、一日300枚も、論文を書いていたそうだ、まるで機関車のように.ちょっと、自分の勉強スタイルを反省する必要があるのかもしれない.