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- 作者: サン=テグジュペリ,堀口大学
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1955/04/12
- メディア: 文庫
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著者の表現は、非常に難解である.彼の作品に慣れないと読みづらいのではないだろうか.あとがきの訳者の解説を読んで、「著者の主題はこういうことなのか」と改めて認識させられた.ところで、サン−テクジュペリの最後はミステリーである.最近、地中海のそこから彼の腕輪が発見され(1998)、更に彼が最後に乗ったまま返らぬ人となった最後の機体の破片が、同様に地中海のそこから発見された話がニュースになっていた.一説によると、彼は返らぬ人となった時は、鬱的な状態であったという.だから、自殺説もあるそうだが、本作品は比較的晩年の作品である.それだからというわけではないが、作品全体に、かつて飛行機載りが郵便物を届けるための命がけの職業であった時代を懐かしむ哀愁が漂っている.あとがきの宮崎駿の解説にそこらへんのことが詳しく説明されている.それを読むと、サン−テクジュペリは、さみしさに打ちひしがれていたのかなと思ってしまう.