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- 作者: 森鴎外
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1992/09/01
- メディア: 文庫
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森鴎外の視点は鋭く、当時において既に将来大きな問題になるであろう主題について鋭く問題提起をしている.一つは、富について.人は、どれだけ富を得ようとも際限なく新しい欲に駆られてしまう生き物である.では、その際限ない欲とどのように付き合ってゆけばよいのであろうか?もう一つは、人間の尊厳死について.こちらの問題は、やはり森鴎外が医者であったからこそ出て来た問題提起なのであろうか.
- 作者: 森鴎外
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/06
- メディア: 文庫
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- 作者: 森鴎外
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 文庫
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本作品をもって、森鴎外は何を伝えたかったのだろうか.著者の主題とかけ離れているかもしれないが、自分が感じたものは、封建社会における主従関係のはかなさである.所詮、この世の中は、だれかに忠誠を尽くしても、むくわれないものなのだ.それは現代社会の、会社組織においても同様に当てはまる真実なのでは?
- 風の便り 太宰治
登場人物のうち、どちらが太宰治をモデルとしているのであろうか.二人の作家による往復書簡の形をとった小説.両者とも仮想の作家であり、自分自身(太宰治)をモデルとしていないのかもしれないが、その主題は、20世紀の文学の方向性についてだろうか.
川端康成に対する著者の怒りを表す文章.太宰治の感情が表に出ていておもしろい.
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1997/06
- メディア: 文庫
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太宰治は、こんな作品も書くのか、と面白く読める作品.今も昔もあまり変わらないのだな.
今風に言えば、文芸春秋に載っている作家による作家の評論.青空文庫はこういう文章も読めるところが面白いと思う.当時も、今で言う「文芸春秋」のような雑誌に掲載されたのかな.
- 作者: プラトン,久保勉
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1964
- メディア: 文庫
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プラトンよ、何をごちゃごちゃ言っているんだ.よく判んないよ、君の主張は.でも、これを解説している青空文庫のボランティアの方の説明文を読んで、「なるほど、そういうところに彼の考え方の矛盾があるのか」と納得してしまった.
- 作者: オー・ヘンリー,小倉多加志
- 出版社/メーカー: (株)南雲堂
- 発売日: 1957/06/01
- メディア: 単行本
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- 賢者の贈り物
作品の概略は、中学生か高校生の時の英語の教科書で読んだことがあるので、既知の作品であるが、このタイトルが「賢者の贈り物」であるという点に注目したい.
- 作者: O・ヘンリー
- 出版社/メーカー: フロンティアニセン
- 発売日: 2005/04/01
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- 最後の一枚の葉
作品の概略は、なんとなく聞いたことがあるが、具体的な設定がニューヨークのダウンタウンで芸術家達の物語であることは知らなかった.今で言うならブルックリン辺りの治安の悪いスラム街で暖房設備も満足なものが無いアパートに暮らす芸術家のたまご達の話であろう.
- 魔女のパン
パン屋の女主人の、日常生活の中でのささやかな楽しみを、最後にはこうも残酷に否定することができるのかと、ちょっと悲しくなってしまう作品.これも、ヘンリに言わせると、人生にはよくある無情とでも言いたいのか?
- 遺書 尾崎秀美
スパイゾルゲの本を読んでいなかったら、この作者の名前を目にしても、多分気が付かなかったと思う.でも、ゾルゲの史実(の少し)を学んだ後に、尾崎の名前を目にし、また作品のタイトルを目にしたならば、読まずにはいられない文である.尾崎のこれからの日本を愁う気持ちが、短い文章ではあるが、強く感じ取られる文章である.
- 日本人の自然観 寺田寅彦
日本人賛歌的な様相の濃い文.それで、ちょっと抵抗を感じずにはいられない作品なのであるが、1900年初頭の頃の日本人の感覚は、やはりこの文章にあるように、日本人の優良種性を前面に押し出すような考えが社会的にも肯定されていたのだろう.それ自身を否定する気持ちは毛頭無いのであるが、(自分が日本人だから、それにどの種の人間にもある考えだと思う、だけど)、どの人種にもある傾向だと思うと、その点について人類の限界を感じてしまう.
- 物理学と感覚 寺田寅彦
20世紀の物理学における二大柱が、量子力学と相対性理論であるならば、そのどちらも人間の日常生活において得られる感覚からはかけ離れた理論である.(当時における)これからの物理学は、このような日常の感覚とはかならずしも沿わない方向に発展して行く可能性を多く含む中で、それでもある種の”感覚”というものは大事にしていかなければならないことを言っているのか?