日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

主人公ミスタースティーブンスとミスケントンの交流の描写にどんどん引き込まれて行く。なぜ、第五日目が無いのか、そんな疑問も、第六日目の章を読むと解決する。そして海を見ながら涙を流すスティーブンスが物語っている人生の重み、そんなことに思いを馳せてしまった。物語の展開は非常に緩やかで、決して起伏の激しい発見や出来事は出てこないのだが、心の琴線に触れるような作品であることは間違いない。