ケインズ―時代と経済学 (ちくま新書)

ケインズ―時代と経済学 (ちくま新書)

ケインズに関する入門書.ある分野の学問を勉強する上でその歴史を学ぶことは必ずしも必要ではない、と考える.たとえば、数学と数学史は異なる(でも、たとえばフィルターという概念に対してそれが生まれた背景やモチベーションは有益な情報だと思う).同様に、経済学を学ぶ上でその歴史を勉強することが重要かどうか疑問だった.しかしながら、本書を読むことにより、経済学の場合はそれが非常に有益であることを痛感した.
ケインズが生きた時代は、19世紀後半から20世紀前半にかけて.二つの大戦を経て、大英帝国第一次大戦前には七つの海を跨ぐ大帝国であったが、第二次大戦後は大国アメリカにその覇権を謙譲する屈辱的な没落を経験する.その時代背景の中、特に戦前は植民地インドの経済政策(通貨政策)に貢献し、戦中は過剰需要に対する経済政策、そして戦後にはその反動の不景気対策に貢献していた.しかも、その貢献はケンブリッジのアカデミックな立場からのみでなく、イギリスの財政政策を指揮する立場からも貢献した.経済学という学問が「経済」をその対象としている以上、マクロ経済学が成立した当時の時代背景を理解せずにマクロ経済の理解は困難だろう.
マクロ経済学の教科書を読んだ後であれば、本書の内容の理解度も深くなる.

  • 夜桜

今夜は、帰社後、千鳥ヶ淵の夜桜を見ようと皇居の回りを千鳥ヶ淵方面に歩き始める(21:00ごろ).桜はまだ六分咲きぐらいであったが、趣があって夜桜はとても美しい.人も少なく、もし満開であっても人ごみの中を想像すれば、むしろ今夜の夜桜の方が美しいと思った.千鳥ヶ淵を眺めて、そのままTOKYO FMの前を通り、結局皇居をほぼ一周した.夜景も美しく、ちょっと風があったが、気持ちいい涼しさでよい気分転換になった.帝国ホテルの前を通り、なつかしい日比谷通りを眺めながら昔の本社の前を通る.第一○テルのお手洗いを借用し、「ああ、ここが社会人のスタートだったなぁ」と感慨にふけりながらJRに乗って帰宅.(でも、第一○テルに入社ではない.)とても素敵な夜だった.