古都 (新潮文庫)

古都 (新潮文庫)

京都の老舗呉服問屋で育てられた美しい娘の千重子、そしてその双子の姉妹苗子の物語.京都の美しい四季と時季折々の祭りなど京都を彩る各種イベントの描写がとても美しく、目を閉じると京都の情景が浮かんでくるような作品.千重子を中心とし、思いやりのある両親、彼女に気を寄せる機織り屋の長男、幼馴染、そして運命的な再開をはたす双子の苗子.話の展開は決して急がないが、京都の移ろい行く四季と同期しながら進んでゆく.淡々とした展開だがやはり最後には美しさの余韻が後味として残っている.