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を渋谷シネマライズで観賞する.初回の10:55であったが、7割ぐらいは座席が埋まっていたかもしれない.中段から後方はほぼ満席だった.本作品の人気をうかがい知ることができる.
ドイツ映画もがんばっているなぁと感じる作品.脚本と演出で勝負する映画であり、俺達はハリウッド映画と同じことはやらないという気概を感じる.
東西ドイツが壁で隔てられている1980年代、東ドイツでは個人のプライバシーなどまったく無いといってよい状態で、体制に睨まれた芸術家は満足な活動をすることも許されずにいた.言論の統制や思想の統一など、社会主義共産主義における矛盾がこれでもかというほど怒りをもって表現されている.社会主義共産主義ユートピア思想は、それを実践する段階で、ユートピアを実現手段がないことが矛盾であり、また為政者の能力の限界が多くの欺瞞を生んでいく.その犠牲となった当時の人々はやりきれない.
ドライマンの本のメッセージ「ヴィースラーに捧ぐ」がすべてを救ってくれる.ヴィースラーの勇気ある行為と、それに対するドライマンの感謝の気持ちが美しく描かれていて、暗黒の時代でさえ人間のすばらしさを教えてくれる心に残る作品だった.