禁色 (新潮文庫)

禁色 (新潮文庫)

発表当時、問題視された作品.たしかに、内容からして普通ではない.女性を愛することができない美男子とその美男子を使って女性たちに復習をはたす老人作家.そもそもこの作品の主人公はどちらなのだろうか?長編であり、美男子の視点から物語が語られる部分もあれば、作家の視点からの部分もある.ところで、やはり三島作品独特の難解な表現部分はさっぱり掴めず、特に老作家に焦点が当る部分は、とても困難である.

シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界

シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界

シベリア抑留を経験した画家に関する本.この本が、なければ香月泰男という画家とその作品に出会うことはなかったと思う.このような経験をした画家がいたことを知り、そしてシベリアシリーズという作品群に出会えて本当によかった.それだけでも、本書を読む価値はあると思う.画家として絵を描くことが出来ない不自由さ、その不自由さの経験がシベリア作品を生み出す土壌になったことなど、今という時間を大切にして本当に自分のやりたいことをやる必要があることを痛切に感じる.