こちらも禁じられた恋(不倫?)を主題とした作品.手術を受ける必要のある主人公のいじらしさの表現や、「上」と「下」に分かれた構成など、短編ながら非常によく考えられた作品である.

なぜ、このような題名が付けられているのか、よく分からない.ある一家の兄弟4人が、即興で物語を作るというお話であるが、まるで笑点のような遊びである.でも、朗らかと言えばそうなのであろう.そのような余暇を楽しむのもまた、家族の団欒がにじみ出ていて良いと思う.面白いのは、三男が物語りを引き継ぎ、とんでもない方向へ進めてしまうところ.その場面で、高木先生の「解析概論」が用いられているのは面白い.太宰も「解析概論」を読んだのだろうか?

北海道に赴任した独身男性のお話.時代背景が現れていて、やはり男性の立場から描かれている.下女を妻にした何某の噂話が出てきて、「教養の無い女性を妻にしてしまい大変なことになっている」などという噂話をしている場面に、思わずはっとしてしまう.