爆弾証言 すべての敵に向かって

爆弾証言 すべての敵に向かって

週刊文春立花隆の記事の中の「この本が、めっぽうおもしろい」に惹かれて購入.出だしは、なるほどおもしろい.9・11当日に、ホワイトハウスにおいて最後の6人となり、命を賭けて国務を遂行した筆者達の経験については一読の価値があると思う.アメリカにおける政権交代は、変化、改革を是とするアメリカの文化において、その多くは良い側面を生んできたと思っていたが、「クリントンからブッシュJrへの政権交代における対テロリズム政策の変化」だけを取り上げると、かならずしも良い変革をもたらしたとは言えず、むしろ後退しているように思える.それは、筆者リチャード・クラークの発言がそもそもクリントン寄りの立場を取っているからかもしれない.が、本書を読むと、あらためて、9・11後のテロ対策としてのイラク戦争が間違いであったという印象を受ける.とは言いつつも、アメリカという国は、このような経験を自国防衛の糧としていると感じる.アルカイダのアジアにおけるテロ活動の一つでも(バリ島における成功以外に)成功していたら、日本における緊張も今よりも高いものになっていたと思われるが、それでも国内で起きた場合以外は、やはり対岸の火事的な対応となっていたかもしれない.オウムの地下鉄サリン事件など、世界でも例を見ないテロ活動の標的となっているだけに、これらの経験を糧にして、我国もテロ対策を万全にし、自分の命は自分で守る国になるべきである.