ドリームガールズ:デラックス・エディション(DVD付)

ドリームガールズ:デラックス・エディション(DVD付)

Dream Girlsを観る.最近のハリウッド映画はファンド不足から、資金を大量に注ぎ込んだ大作を作りにくい環境にあり、その為、ミュージカル映画のように俳優、女優の演技力で勝負できるような作品が多いと聞いた.確かに本作品は、CG効果や大掛かりな撮影セットなどが前面に強調されるような作品ではない.でも、これほど音楽の表現力に圧倒される作品には出会ったことが無い.大迫力なアクション映画は映画館の大スクリーンでぜひ!というようなキャッチフレーズを聞くことが多いが、African Americanのすばらしい表現力が凝縮された本作品こそ、映画館のすばらしい音響で聞くべきだ.
Jamie Foxx(Curtis Tayor Jr.役)はオープニングから中盤にかけてAmericaのShowbiz界で搾取され続けてきたAfrican AmericanのためJamesやDreametsのプロモーションに奮闘するナイスガイだ.しかし中盤から後半にかけてはビジネス界でかつての仲間をも裏切るような行動をとり、やがて周辺の仲間は彼から離れていく.Showbiz界に代表されるように地位や名誉や財産はその人を根底から変えてしまうのだろうか.特に、かつて白人がJamesとDreametsの曲を盗作し、その行為に怒りを覚えてたCurtisが、数年後に今度は自分がEffieに対して盗作するのは皮肉めいている.Beyonce Knowles(Deena Jones役)は美しく、スタイル抜群、そして歌もすばらしく、文句のつけようがない.でも、個人的にはEddie Murphy(James "Thunder" Early役)のステージパフォーマンスが最高に楽しかった.ミュージカルパフォーマンスについては、自分のような音楽素人にとっては、すべての俳優が同程度にすばらしいのだが、個人的にはEddieのパフォーマンスが最高だった.彼のように音楽業界の都合に合わせていくがために、自身の本当の表現が捻じ曲げられてしまうアーティストは、本当のところ、どの程度いるのだろう.音楽業界の人々は多かれ少なかれ商業主義と自分の理想の狭間で悩んでいるのかもしれない.そして最後に、本作品の真の主演は Jennifer Hudson (Effie White役)かもしれない.彼女が一度頂点から転げ落ちて、場末のバーで再起するシーンが一番の見所だ.
とにかく、African Americanの音楽パワーにただ圧倒される.音楽とは彼らのためにあるのかもしれないと思ってしまうほどの作品だった.