脳を鍛える―東大講義「人間の現在」 (新潮文庫)

脳を鍛える―東大講義「人間の現在」 (新潮文庫)

"立花隆東京大学教養学部客員教授だった時の授業を本にまとめたもの.本書を読んでいるだけでも、面白い授業だったのだろうな、と想像できます.本書の全体に埋め込まれているのは、立花隆の飽くなき知への探究心でしょうか.彼の学生時代の日記に「あれもやりたい、これもやりたい.時間が足りない...」とあるのは、正にガロアのようです.(足りない理由がちょっと違うかもしれないが.)フランス文学、とりわけバレリィーの「テスト氏と...」に関するレクチャ−は読み応えがあります.彼曰く、「ランボーなどはフランス語で読まなければその本当の素晴らしさを理解できない」.例として松尾芭蕉の俳句を英訳したものを示して、「これで芭蕉を理解するのは無理でしょう.」と.おっしゃる通りです.ああ、これではフランス語をマスターしなければ、バレリィーやランボーまで辿り着けません.フランス語?
一方、後半の理科系のテーマのレクチャーは、ちょっと.やはり、立花隆の作品は、理科系のテーマ以外の作品を読むのがベターではないかというのが私見です."