マーケットニュートラル投資の世界 ― ヘッジファンドの投資戦略 (ウィザード・ブックシリーズ)

マーケットニュートラル投資の世界 ― ヘッジファンドの投資戦略 (ウィザード・ブックシリーズ)

マーケットニュートラルという投資方法の平易な入門書.難しい専門用語も特に無く、気楽に流し読みできる本である.書いてあることの8から9割はいい加減な内容であるが、残りの1,2割の中に数理ファイナンスのヒントとなる”何か”を見つける必要がある.印象に残るテーマは、「転換社債アービトラージ」、「MBSアービトラージ」、そして「買収合併アービトラージ」.レラティブバリューやらアービトラージと言っているが、結局は割安感のある資産をロングし、割高な資産をショートする基本はどれも同じである.だから、その「割安」資産をどのように見つけ出すかがポイントである.そのポイントとして、精緻な時価評価モデルが必要なのか、市場の動きを予測するロバストな統計的推計モデルが必要なのか.本書を読みながら、絶えずそのようなことを考える.